薬物とはなにか
最初のテーマは「薬物」とは何かというものです。
この「薬物」という言葉は、今と昔で捉え方が少し違います。
昔の薬物
昔は今みたいに「薬物(薬)」の定義が曖昧で、
ヒトに有用なものが「薬物」、ヒトに有害なものは「毒物」と定義されていました。
昔の薬物は天然物が主流
昔は、今みたいに薬物が「薬剤💊」という錠剤やカプセルの形ではなく、植物からの抽出物や鉱物などの天然物質由来のものでした。
- ヤナギの樹皮からの抽出物…鎮痛作用(後のアスピリンに関連)
- ケシの未熟果から採取した樹液…鎮痛・陶酔作用(後のモルヒネに関連)
- 水銀…腐敗抑制作用があるため防腐剤として使用
- 硝酸銀…強い殺菌成分が含まれているため消毒剤として使用
ただ、毒物とされていた物質でも使用方法や用量によっては有用であったり、薬物とされていても使い方を間違えると有害であったりその区別は非常に曖昧なものでした。
昔は今みたいに成分や科学的根拠という概念がなく、有効性には経験以上の裏付けがなので作用の実体についても「魔法や迷信」で説明されることもありました。
現代の薬物
時代が進むにつれて、「生理学」や「生化学」が発展し薬物について科学的に理解しようという試みが進展し、現在の「薬理学」が誕生しました。
現在では、薬物とは化学的に構造がわかっている物質(有効成分)が主体で、それが体に影響をもたらすと考えられています。
現代の薬物には、
- 科学的に合成されたもの
- 植物や動物由来のもの
- 遺伝子工学によって作られたもの
など、様々な物質が有効成分として含まれています。
この有効成分を「薬」として使用するために「錠剤」や「カプセル剤」のように飲みやすい形に整えることを「製剤」と呼びます。
色々な薬のカタチ
製剤された薬には様々な剤形があります。
- 錠剤・口腔内崩壊錠
- 散剤・水剤
- 注射剤
- 吸入剤
- 貼付剤・経皮吸収型製剤
- 軟膏剤 etc..
それぞれメリット、デメリットがあり状況に合わせて使い分けが必要です。
メリットやデメリット、各剤形の特徴は次回の講義でお伝えします!
薬物の使用目的とは?
薬剤は使用目的によって以下の4種類に分類されます。
原因療法薬
病気の原因を取り除く薬物:疾患や症状の原因を薬物によって除去あるいは抑制する。根治が期待できる。
例)、感染症の原因菌に対する抗菌薬やウイルス感染症に対する抗ウイルス薬
対症療法薬
病気の症状を緩和させる効果をもつ薬物:症状を薬物によって抑制する。原因を除去しないので根治は期待できない。
例)、風邪症状に使用する一般的な風邪薬(PL顆粒や総合感冒薬など)
補充療法薬
体内の不足している物質を補充する薬物:ホルモンやビタミンなどが不足して起こる疾患や病態に対して補充を行うことで症状を改善する。
例)、インスリン分泌障害がある1型糖尿病に対するインスリン製剤
予防薬
病気の発症をあらかじめ防ぐための薬物:疾患の原因となる事象を薬物であらかじめ除去・排除することで疾患を予防する。
例)、花粉症に対して予防的に使用される抗アレルギー薬
まとめ
今回は、薬の歴史や財形、使用目的について勉強しました。
この調子でどんどん勉強して薬理学を得意と言えるように頑張っていきましょうー!!