【薬理学を徹底解説!】看護師国家試験問題|第104回

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目次

看護師国家試験の薬理学に関する問題を厳選

看護師国家試験の中から、「薬理学」に関する問題を取り上げ、解答と解説を行っています。

また、関連するブログ記事があればURLを掲載しているので、すぐに復習することができます。

1問1答形式となっているので、隙間時間を使って薬理学の知識を効率よく蓄えていきましょう!

イブしろ

※薬理学と直接関係のない問題も含まれる可能性がありますが、薬理学を学ぶ上で大事なことなので併せて覚えていきましょう。

問題

第16問 

副作用(有害事象)として低血糖症状を起こす可能性があるのはどれか。

  1. ジゴキシン
  2. インスリン
  3. フェニトイン
  4. ワルファリン
解答・解説

正解:2

1.ジゴキシン(×)

  • 分類: 強心薬(心不全や不整脈の治療に使用)
  • 作用: 心筋の収縮力を強め、心拍数を安定させることで心不全や不整脈の治療に用います。
  • 注意点: 治療域が狭く、過剰に摂取すると中毒症状(吐き気、視覚異常、不整脈など)を引き起こす可能性があるため、TDM(治療薬物モニタリング)が必要です。

2.インスリン(○)

  • 分類: 糖尿病治療薬(ホルモン)
  • 作用: 血糖値を下げる作用があり、特に1型糖尿病やインスリンが不足している2型糖尿病の治療に使用されます。
  • 注意点: 過剰投与により低血糖を引き起こすことがあるため、血糖値のモニタリングが重要です。低血糖症状が現れた場合は、速やかに糖分を摂取する必要があります。また、服用している経口血糖降下薬の種類によっては、必ずブドウ糖を摂取しなければなりません。(特にαグルコシダーゼ阻害薬の場合は、必ずブドウ糖が必要です)

3.フェニトイン(×)

  • 分類: 抗てんかん薬
  • 作用: 脳内の神経活動を抑えることで、てんかん発作を予防します。
  • 注意点: ジゴキシンと同様、治療域が狭く、副作用(歯肉肥厚、目の振動、バランス障害など)や薬物相互作用があるため、TDM(治療薬物モニタリング)が必要となります。

4.ワルファリン(×)

  • 分類: 抗凝固薬(血液をサラサラにする薬)
  • 作用: 血液の凝固を防ぐことで、血栓や塞栓症(心房細動や深部静脈血栓症など)の予防と治療に使用されます。
  • 注意点: 効果が強すぎると出血リスクが高まるため、定期的にPT -INR(国際標準比)という血液凝固の指標をモニタリングし、投与量を調整する必要があります。
    ⇨また、食事(ビタミンK含有物:納豆など)や他の薬との相互作用が多い点にも注意が必要が必要です。

第17問 

医薬品に関する禁忌を示すことが定められているのはどれか。

  1. 処方箋
  2. 診断書
  3. 看護記録
  4. 添付文書
解答・解説

正解:4

1.処方箋(×)

  • 説明: 処方箋は、医師が患者に対して薬の処方を指示するための文書です。薬の名前、用量、投与方法、使用期間などが記載されています。
  • 役割: 薬剤師が処方箋をもとに正確に薬を調剤し、患者に渡します。また、処方された薬の内容を確認することで、患者が適切な薬物療法を受けることができます。
  • 特徴: 医師のサインが必要で、期限内に薬局に提出する必要があります(通常、処方日から4日以内)。

2.診断書(×)

  • 説明: 診断書は、医師が患者の健康状態や病気、診断結果を公式に証明する文書です。就業の可否、保険の申請、学校や会社への提出など、さまざまな場面で利用されます。
  • 役割: 病気やけがに対する診断の結果や治療の必要性を証明するための書類です。また、社会的な手続きを進める際に必要となることが多いです(例えば、労災保険の申請など)。
  • 特徴: 診断内容や症状の詳細、治療期間、医師のサインと日付が含まれます。

3.看護記録(×)

  • 説明: 看護記録は、看護師が患者の状態やケアに関する情報を記録する文書です。看護の観察内容、介入方法、患者の反応、治療の進行状況などが記載されます。
  • 役割: 患者の治療経過やケアの提供に関する情報を共有し、医療チーム全体で患者に対して適切な治療・ケアを行うために使われます。また、看護の質を保証し、法的な証拠としても利用されることがあります。
  • 特徴: 看護師が日々の業務の中で観察した内容を具体的に記録します。記録には、患者のバイタルサイン(血圧、脈拍など)や症状の変化、看護師の対応が詳細に書かれます。

4.添付文書(○)

  • 説明: 添付文書は、薬品に添付される文書で、薬の使用方法、効能・効果、注意事項、副作用などが記載されています。製薬会社が作成し、医師、薬剤師、患者に情報を提供するために用いられます。
  • 役割: 薬の適切な使用方法を伝えるためのガイドラインであり、安全に使用するための指針を示します。患者に対しても重要な情報源となり、薬の正しい使用や副作用の注意喚起に役立ちます。
  • 特徴: 効能・効果、用法・用量、副作用、併用禁忌の情報薬の成分、保管方法などが詳細に書かれており、専門的な情報も含まれます。

第22問

血中濃度を確認する必要性が最も高い医薬品はどれか。

  1. アスピリン
  2. フロセミド
  3. テオフィリン
  4. インドメタシン
解答・解説

正解:3

血中濃度を確認する必要性が高い医薬品とは、治療効果を得るために血中濃度が一定の範囲(治療域)内に保たれる必要があり、またその範囲を超えると副作用中毒症状が出やすい薬剤です。これらの薬剤は、個人差や薬物相互作用の影響を受けやすく、適切な投与量を判断するためにTDM(治療薬物モニタリング)を行う必要があります。

TDMが必要な薬剤

  • ジゴキシン(強心薬): 治療効果と中毒の範囲が非常に近いため、定期的に血中濃度を確認し、心不全や不整脈の治療に使用します。
  • リチウム(気分安定薬): 効果を発揮する範囲と中毒のリスクが近いので、血中濃度を定期的に測定し、双極性障害の治療に使われます。
  • フェニトイン(抗てんかん薬): 薬物代謝に個人差が大きいため、定期的な血中濃度の確認が必要です。
  • バンコマイシン(抗菌薬): 効果的な濃度と毒性の範囲が非常に近いため、血中濃度を定期的に確認し、腎毒性などのリスクを管理しながら、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)などの耐性菌の治療に使用します。
  • テオフィリン(気管支拡張薬): 治療効果と中毒の範囲が狭いため、血中濃度を定期的に測定し、喘息やCOPDの治療に使用します。個人差が大きく、副作用のリスクを管理するためにTDMが必要です。
  • バルプロ酸ナトリウム(抗てんかん薬): 治療域が狭く、血中濃度の管理が重要です。定期的な血中濃度の測定を行い、てんかん発作の予防や気分障害、双極性障害の治療に使用します。副作用や効果のバランスを取るためにTDMが行われます。

第66問


神経伝達物質と精神疾患の組合せで最も関連が強いのはどれか。

  1. ドパミン―脳血管性認知症(cerebrovascular dementia)
  2. セロトニン―うつ病(depression)
  3. ヒスタミン―Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)
  4. アセチルコリン―統合失調症(schizophrenia)
解答・解説

正解:2

1.ドパミン―脳血管性認知症(cerebrovascular dementia)(×)

ドパミンと関連のある疾患

  • パーキンソン病: ドパミンを産生する神経細胞が減少し、運動障害(震え、筋肉のこわばり、動作の遅れなど)が見られる疾患です。
  • 統合失調症: ドパミンの過剰活性が症状の一因とされ、幻覚や妄想、思考の混乱などの精神症状が現れます。
  • うつ病: ドパミンの不足が、気分の低下や興味喪失などの症状と関連しています。

2.セロトニン―うつ病(depression)(○)

セロトニンと関連のある疾患

  • うつ病: セロトニンの不足が、気分の低下や絶望感、不安感などの症状に関与しています。抗うつ薬はセロトニンの再取り込みを阻害することで効果を発揮します。
  • 不安障害: セロトニンの不均衡が不安やパニック発作に関連しています。

3.ヒスタミン―Alzheimer〈アルツハイマー〉病(Alzheimer disease)(×)

ヒスタミンと関連のある疾患

  • アレルギー反応: ヒスタミンはアレルギー反応の一環として放出され、かゆみ、鼻水、蕁麻疹などの症状を引き起こします。抗ヒスタミン薬がこれに対処します。
  • 胃酸過多症(胃潰瘍): ヒスタミンは胃酸の分泌を促進するため、胃酸過多が原因で胃潰瘍や逆流性食道炎が発生することがあります。

4.アセチルコリン―統合失調症(schizophrenia)(×)

アセチルコリンと関連のある疾患

  • アルツハイマー病: アセチルコリンのレベルが低下し、記憶障害や認知機能の低下が見られます。
  • 筋無力症(重症筋無力症): アセチルコリンの受容体に対する自己抗体が生成され、筋肉の収縮が妨げられる疾患です。
  • パーキンソン病: アセチルコリンとドパミンのバランスの不均衡が、運動機能の障害に寄与しています。
イブしろ

この問題は、神経伝達物質と疾患の関係をしっかり理解する必要があります。別の記事でそれぞれの神経伝達物質と受容体や疾患について解説しているので、そちらも参考にして下さい!

まとめ

過去問を解くことは、試験勉強において非常に効果的な方法です。過去問を効果的に活用することで、試験準備がより効率的に行え、実際の試験に対する自信を高めることができます。計画的に取り組み、全体的な学習戦略の一部として活用してください。

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